ねこみみかんばこ

午前三時。数多の酔客たちを生み出した夜の街も、喧騒の峠を越えてようやく眠りに就く頃。 居酒屋でのバイトを終えた俺は、静まり返った歓楽街の通りを独りとぼとぼと歩いていた。 明日行けば七連勤。立ちっぱなしで痛む腰を擦れば、風呂と布団の温もりが無性に恋しくなってくる。 大学一年生の身でありながらこの頃貯金ばかりに凝っており、日中の講義には専ら仮眠を取りに通っている始末だ。 お陰で単位取得率も乏しく、これでは一体何のために死に物狂いで受験戦争に勝ち残ったのか、自分でも良く分からない。 留年すれば学費はより掛かるというのに、まるで阿呆だと親しい友人は言う。全くもって同感だ。 「いっそ辞めちまおうかなぁ……」 夜風に紛れるようにポツリと呟いた後、何の気なしに横の路地を眺めようとして、ふと足を止めた。 「ん、あれは――まさか」 小首を傾げながら視線を投げた先――隣接する二つのオンボロビルの隙間に出来たその空間には、 赤錆びて放置された自転車や派手に割れたビールケース、吐瀉物に塗れたスラックスに犬のウンコなど、 おおよそゴミと判別出来る有象無象が行く手を阻んでいた。 よほどの用事がなければ通りたくもない汚い狭路だが、その先に捨て置かれた『ある物』を見つけて、俺は迷わず奥へと歩を進める。 「うげ、きったねっ」 近寄った途端、ムッと立ち昇る悪臭に鼻を摘みながら、どうにかこうにか障害物の群れを踏破して目標地点にたどり着く。 ふぅと疲れた息を吐きながら足元を見下ろすと、そこには『有田みかん』と書かれた黄色い大きな段ボール箱と、 その中で窮屈そうに身を縮こまらせて丸まった一匹の猫……もとい、猫のような耳と尻尾の生えた少女が居た。 頼りなく照らされた電灯の下、鼻先まで伸びた黒い前髪を数秒おきに微弱な吐息で靡かせながら、 すぅすぅと穏やかな寝顔を晒している。 「獣人の捨て子か……」 思いがけず、俺の口から薄情な声が漏れた。通りから見えたのは、間違いなくこの可憐な寝顔だった。 しかし、まさか獣人の子だったとは。 遠く響く救急車のサイレンの音をぼんやりと聞きながら、俺はどうしたものかと考えあぐねた。 事この現代社会において、獣人の地位というものは極めて低い。ド直球に言ってしまえば、禁忌の存在だ。 彼らの起源を紐解くならばそれは昔、日本のどこかの研究所で倫理観を無視した異種配合実験によって誕生したと伝えられている。 やがてその研究は志半ばで頓挫したが、一部の破滅的思想を持つ研究者らの手引により、多くの被験者達は秘密裏に飼育場から逃れ出た。 だが、戸籍を持たない彼らに安住の地など無く、その後は日本各地を転々としながらも、 モデルとなった犬猫の繁殖力を体現するかの如く、爆発的な勢いで子孫を増やし続けた。 その結果、今では巷でもチラホラと見受けられる程の人口になり、それまで黙殺してきた政府もようやく彼らの存在を認めて、 社会的地位向上の為に動き出した、というのが先週の講義で俺が欠伸しながら聞いた話だ。 そんな悲劇的な運命を背負う彼らだが、忌み嫌われる理由は非倫理的な生まれ以外にもう一つある。 それは彼らの大半が性風俗産業に従事しているということ。ある意味これも悲劇の内なのだが、 異種配合の際に特殊な遺伝子操作を施された影響で、男はペニスの長さと勃起持続力が、女は乳房の膨らみと膣襞のうねりが、 それぞれ常人と比べて大いに発達しており、性的パートナーとして従事するにはこの上なく適した身体作りになっている為だ。 街行く人々が獣人たちをどこか疎ましく、かつ妬ましそうに見下しているのには、そうした背景があるからに相違ない。 「……とりあえず、交番にでも届けないと」 長い思慮から立ち戻った俺はその場にしゃがみ込むと、段ボールの中に居る猫幼女の容姿をしげしげと観察し始めた。 ヒトで言えば小●四年生くらいだろうか。 薄っすらと開いた唇は仄かに紅く、そこから覗く白歯は未だあどけなさの残る子供らしい、無垢な形をしている。 服は黒紫色の質素なワンピースのみで、靴はおろか靴下さえも身に着けていない。丸裸足だ。 きっと幸せな夢でも見ているのだろう。時々「んぅぅ」と悩ましげな声を漏らしては、三角に折り畳んだおみ足を擦り合わせたりしている。 適度に露出した肩肘には女児特有の赤みが差し、それが生来の絹肌と相まって、まるで精巧に創られた人形のようにさえ映る。 相手の意識が無いのをいいことに、ジロジロと無遠慮な視線で全身を隈なく眺めてから、 俺は置き手紙の一つでも無いかと段ボール箱の中を弄り始めた。 「…………っ!?」 と、不意にその手が止まる。 俺の手の甲がワンピースの胸元を撫でた瞬間、それまで意識していなかった『ある感情』が突如として湧き上がってきた。 もう一度、今度は手の甲ではなく手の平を向けて、恐る恐る彼女の胸元へと差し伸ばす。 ぐにゅっ、ぎゅむっ。 (うわっ、で、でっけぇ……っ!?) 思わず歓喜の声をあげてしまいそうになるのを、俺は必死で抑えた。 生柔らかな乳の感触が指と手の平からひしひしと伝わってくるが、なにより驚きなのはその大きさだ。 ハンドボールくらいはあるんじゃないかと思うほどの爆乳が猫少女、いや、猫幼女の胸元にむっちりと張り付いていたのだから、堪らない。 (獣人の身体はエロいと聞いていたが、まさかこんな小さい子までスゲーもん持ってやがるのかよ……っ!) 気がつけば置き手紙を探すという当初の目的など忘れ、俺は一心不乱に猫幼女の乳房を揉みしだいていた。 こんな凶悪なモノをぶら下げておいて、まだブラを付けるという習慣すら身に付いていないらしい。 つんと尖った乳首を指の間で挟みながら、ぎゅむぎゅむと生意気な膨らみをこねまくる。 「はぁ……はぁ……っ、ヤベェ、止まらねぇわコレ……」 「……ん、……ぅ……」 指先の一本一本から伝わるこのボリューム。なるほど、これならいくらでも男が釣れるはずだ。 適材適所という下卑た考えを浮かべつつ、俺は空いた左手でズボンの股間部分を擦り始める。 トランクスの隙間からはみ出したソコは既にギチギチに硬化しており、デニム越しの緩慢な刺激だけでも充分なくらいに充血していた。 あと少し、三擦りすれば射精出来る。 そう思った矢先――。 「ん、んんぅ??」 「…………っ!?」 それまで微かにしか動いていなかった猫幼女の口元が、不意にモゴモゴと蠢いた。 と思いきや、明らかに困惑を帯びた声がそこから漏れ出した。俺は咄嗟に手を引っ込めようとしたが、時既に遅し。 次の瞬間、パチリと開いた蒼色の瞳が引きつった俺の相貌を逃さず捕らえた。 「……だぁれ?」 深夜の路地裏に反響する、場違いなほど純朴な幼声。 その音に魅入られるが如く、俺の口元は自然と開いていた。 「お、俺? 俺は……真田アキマサって、言うんだけど……」 「…………」 「え、えへへ……ぅ、嘘じゃないよ、本名だって……」 魂ごと射抜くような純粋可憐な視線を真っ向から浴びせ掛けられ、俺はしどろもどろに自分の姓名を答えた。 指先は震え、視線は泳ぎ、どこからどう見ても単なる不審者でしかなかったが、 眠りから目覚めた猫幼女は悲鳴や罵声を上げることもなく、ただじぃっと俺の顔を興味深そうに眺めている。 「…………??」 そして、きょとんとその首が斜め四十五度に傾いた。 その愛くるしい感情表現に魅力され、暫しぼぅっと見つめ返していたが、 やがて年上という精神的優位性を思い出した俺は慌てて口を開く。 「そ、それよりさっ! キミのお母さんはどこに居るのかな!?  良ければお兄さんが一緒に探してあげるよっ!!」 「……まま?」 「うん、そう、ママ」 ようやく意思疎通に成功した俺は、安堵の表情を浮かべて頷いた。一見して捨て子だと判断したが、もしかしたら家出かもしれない。 それなら無理に警察へ届け出るよりも、家路につく手助けをしてあげた方が彼女の為になるだろう。 無断で乳を揉みしだいたお詫びとして、それくらいの手間は掛けさせて欲しいと偽善ながらにそう思ったのだ。 だが、俺の口からママという単語が出た途端、当の猫幼女は目尻に大きな涙粒を溜め込みながら、寂しげに呟く。 「ままは……もういないの。わたしをおいて、どこかにいっちゃった……」 「……そっか」 不思議な光景だった。涙は絶えず頬を伝って溢れ落ちていくのに、猫幼女は一度もしゃくりあげる事もなく、淡々と言葉を紡いでいく。 ひょっとすると、この子は泣き方すら知らないんじゃないか。そんな奇特な考えが、腐り掛けていた俺の胸を鋭く掠めた。 その痛みに急かされるように、俺はズボンの後ろポケットから皺くちゃのハンカチを取り出すと、 そっと猫幼女の顔を拭いつつ、出し得る限りの優しい声色で尋ねた。 「ところで、キミのお名前はなんて言うんだい?」 「……なまえ?」 「うん、名前」 「…………??」 再び猫幼女の首が傾く。とてもじゃないが、惚けている風には見えない。 が、自分の名前を知らないというのも信じがたい話だ。なら一体、母親からは何と呼ばれていたのだろう。 「ママにはなんて――」 と俺が言いかけた刹那、またじわりと猫幼女の目尻に雫が満ちる。ダメだ。これでは名前を聞くどころではない。 キラキラと宝石のように輝く涙が顎を伝って哀しく流れ落ちていく光景を見ていると、言い様のない罪悪感に苛まれる。 俺は逃げるように視線を落とした。 そして、段ボール箱に書いてある文字にふと目を奪われる。 「……蜜柑(みかん)だ」 「……?」 「キミのこと、蜜柑って呼んでもいいかな?」 「み、か、ん……?」 一音一音噛みしめるように、猫幼女はその名前を呟いた。 すると樹雨のように流れ出ていた涙がふっと止み、雲間から晴々しい笑みが溢れた。 「みかん……」 もう一度、今度はそれを自分の物にするかの如く、捨て子の猫幼女――蜜柑は名付け親である俺の顔を見ながらうっとりと呟いた。 頬には涙の通った跡が一筋の川となって残っているが、仄かに色づいた赤みと合わさって未熟な化粧のようにも見える。 その幼くも艶めかしい表情に、俺は言い知れぬ昂ぶりを感じた。 「ちなみに俺はアキマサって言うんだけど」 「あ……き……?」 「惜しい、アキマサだよ。ア・キ・マ・サ」 「…………」 「あ、あれ?」 途中まで言いかけた蜜柑だったが、急にぷいっと興味を無くしたように視線を外した。 膨れっ面のまま、暫くは自転車のパンクしたタイヤなどを見つめていたが、 やがてゆっくりと俺の方へ向き直ると、ジト目を向けてこう呟いた。 「……ぱぱ」 一瞬、それが何を示すモノなのか、俺は理解しかねた。 てっきり父親の身の上話でも始めるのかと聞き耳を立てていたが、彼女が一向に続きを漏らさないので、 まさかと思って自分を指差す。 「ぱ、パパ? それ、まさか俺のコト?」 「うん、ぱぱ……」 ずいっと身を乗り出しながら、蜜柑は力強く頷いた。 頑なにアキマサという名前を呼ばない理由、代わりにパパと呼ぼうと心に決めた理由、きっと様々あるだろう。悲痛な思いもしただろう。 だが、生憎今の俺にはそんな彼女の心の機微を読み取る余裕など無かった。 身を乗り出す……すなわち段ボールの一端に両手を付いたまま、上半身を屈めて前方にぐいっと勢い良く突き出した訳だ。 揺れて然るべきモノは揺れるし、弾んで然るべきモノは弾む。当然の摂理だ。 (ぷるんって! 今、スゲェ揺れたぞ!!) その一瞬、振り子のようにたぷんたぷんと揺れ弾んだ二つの胸の膨らみを、俺はしかと瞼の奥に焼き付けた。 無論、顔は哀愁漂わせた好青年のまま……と思っているのは本人だけで、 実際には狒狒爺のようにだらしなく鼻の下を伸ばし、下品極まりない眼差しで彼女の乳房を凝視していたらしい。 「……へんなかお……」 「うぇっ!?」 蜜柑に指摘され、俺は即座に頬を引き締めた。 その間、彼女は真正面からじぃっとジト目で見つめていたが、不意にキュッと唇を噛み締めて、絞り出すように尋ねる。 「だめ……?」 「い、いや全然っ、ダメじゃないよ、うんっ!」 俺は何度も頷いた。多少恥ずかしいが、パパと呼ばれることに嫌悪感は無かったし、 むしろこう、よからぬ感情が再び鎌首をもたげる気すらしていた。 そして、気付けば自然と腰が引けていた。というか我慢の限界だった。 (たとえ世間からクズ野郎と蔑まれてもいい、俺は……俺は……っ!) 率直に言えば、俺はもはやこの子を警察なり養護施設なりに預けようとする気は欠片も残っていなかった。 自分の手で、必ずや立派に育てようという気概に燃えていた。 嘘だ。その過程でちょっぴり美味しい思いをさせて貰おうと、そういう魂胆だった。 だが、問題はこの後のアプローチだ。今のところ、蜜柑にどれほどの常識があるのかは不明だが、 いきなり態度を豹変させてみかん箱ごと担いで夜道を走りだせば、九分九厘泣き叫ぶだろう。 それはさすがに論外としても、露骨に警戒されない程度には彼女を納得させて連れ出したい。 そんな邪念まみれの思いを胸に抱きながら俺は考えていたが、やがて一つの案がピコンと頭の中に閃いた。 「けどパパって呼ばれるとアレだね、なんか一緒に住みたくなるっていうか――」 この際一緒に住んじゃおうか、とオチャラけた口振りで続きを言おうとしたが、爛々と光る眼差しがそれを遮る。 冷眼、冷視、そう形容したくなるような冷ややかな瞳に射抜かれては、こちらも冷や汗しか出てこない。 「…………」 「な、なぁんつって……ハハ」 乾いた笑いで誤魔化そうとも、蒼い瞳はまるで揺るがない。 蜜柑はじぃっと、それまでよりも殊更熱心な表情で、俺の瞳の奥の奥にある素の感情を読み取ろうと見つめていた。 凍り付いたような長い時間の中――実際には一分にも満たない間だったが――俺は額から汗を垂らしながらも決して目を逸らさなかった。 さながら本物の猫のように瞳孔を大きく開きながら、蜜柑の口が微かに開く。 「…………いいの?」 相変わらず眼光は鋭いが、口から漏れたのは心細げな少女の声だった。 半信半疑の薄い信頼。それを利用するのは俺としても少なからず心苦しかったが、ここまで来れば後には引けない。 お互いの為に、俺は堂々と頷いてみせる。 「うん、蜜柑が良ければだけどね」 「…………」 「パパのお家に来れば、美味しいご飯もあるよ?」 「…………ごはん」 呟いた蜜柑の口端から、滑らかな涎がじゅるりと滴り落ちる。 ようやく見せた歳相応の反応に、俺はズルいと自戒しながらも少し嬉しくなる。 「どうする?」 「…………」 それでも蜜柑は安易にうんと言わない。幼いながらも慎重に、自らの運命を選んでいる節さえあった。 期待と不安の入り混じった綺麗な蒼眼が、彼女の聡明さを知らしめている。 吹き抜けた夜風が、見つめ合う二人の前髪をパサパサと靡かせた。 「……」 短い沈黙の後、蜜柑は俺の顔の前でゆっくりと瞬きをした。 濡れた睫毛の先から一滴の涙が溢れたが、それが悲しみの結晶でないことは俺も分かっていた。 「……みかんは……ぱぱと、いっしょがいい……」 そう言ってはにかむ笑顔の何と美しきことか。感極まって貰い泣きしそうになるのを、俺は既のところで耐えた。 人差し指を鼻下に宛てがい、ずずっと一啜りして、娘の頭に手をやる。 「そっか、それなら良かったよ」 「……ぁ」 言いながらくしゃりと髪を撫でてやると、蜜柑の耳と尻尾がピコピコと愛らしく動いた。 きめ細やかで指通りの良い黒髪に惹かれ、ついワシャワシャと掻き乱してしまう。 「んぅ……、やぁ……くすぐっ……たいよ……ぱぱぁ……」 やめてやめてと小さく首を左右に振っているが、それを打ち消すように耳と尻尾は嬉しげにピョンピョンと跳ねている。 締まりきらずに弛んだ口元からは熱い吐息が漏れ、八の字に曲げた眉と上目遣いの眼差しは困惑以外の何かを伝えている。 見惚れていた俺はハッと気付いた。これが俗にいう父性なのかと。 (こ、こんな可愛い子に、俺はなんていやらしい企みを……!) 己の心の醜さを知り、同時に深く恥じた。 こんなにも清らかな幼子を薄汚れた欲望の捌け口にしようなど、言語道断。 死んで詫びよう。数十年後くらいには。 「ごめんごめん、蜜柑が余りにも可愛かったから、つい意地悪しちゃったよ」 「…………っ」 紅く頬を染め、恥ずかしさを隠すようにぷいっとそっぽを向く蜜柑を見下ろしてから、俺は段ボール箱の前にしゃがみこんだ。 「お家まではパパが運んであげるから、それまでこの箱の中で大人しくしておくんだぞ」 「……うん」 同じ目線で問いかけながら、蜜柑が丸く寝転がるのを待つ。 が、やはり窮屈なのか、ガサゴソと箱の内装と格闘するような物音が絶えず響いてきて、俺は心配そうに尋ね返した。 「狭くない? 大丈夫?」 「……へーき」 上から覗き込むと、出会った時と同じような格好でみかん箱に身を包ませた少女が、ちょっと苦しげな声で答えた。 かと言って靴もないのに一緒に歩く訳にもいかないし、抱っこやおんぶで歓楽街を歩くというのも気が引ける。 みかん箱を担いだバイト帰りの大学生なら……まぁ、ギリギリセーフだろう。多分。 「よっこいしょ、っと」 軽く蓋を閉めてから、俺はみかん箱を担ぎ上げた。中身は勿論、蜜柑入りだ。 特大サイズと書かれてはいるが、どうやっても頭半分ははみ出てしまう。 運悪く巡回中の警官と鉢合わせになったら、その時は終わりだ。潔く諦めよう。 「少しの間だけの辛抱だから、頑張ってね」 「…………がんばる」 歩き出す直前、俺が声を掛けると閉じた箱の隙間から健気な女の子の声が漏れた。 その声に勇気づけられるように、俺は一歩ずつ硬いアスファルトを踏みしめながら、家路へと向かっていく。 深まる闇に紛れるように、俺はのっそのっそと重い足取りで歩道の隅を歩いた。 行き交う人の影はまばらで、誰も俺の様子に目を留めはしない。 見ているモノがあるとすれば、それは西に傾きかけた満月くらいだろう。 祈るような気持ちで歓楽街を抜け、自宅アパートの階段前へと辿り着く。 ほっと息を吐いたのも束の間、俺の胸には滾るような熱い思いが沸々と湧き上がってきた。 (よし、決めたぞ。俺はこの子の父親として、良識ある大人として、絶対に変な気など起こさないと誓ってやる!) さながら厳格な頑固親父のようにキリッと表情筋を引き締めると、 娘入りのダンボール箱を担いだまま、ギシギシと軋む階段を颯爽と登っていく。 月下に照らされたその横顔は、何者にも屈しない毅然とした態度と、揺るぎない決意に満ち溢れていた。 ――はずだった。 その夜、夕食を済ませた俺は蜜柑の身体を洗おうと、狭い風呂場へ一緒に入った。 この時点で核爆弾級のリスクが俺の背中にのしかかっていたのだが、 この時ばかりは可愛い娘を綺麗にしてやろうという一心のみで、別に他意は無かった。本当だ。 その時既に俺の股間は言い訳できないほどに張り詰めていたが、まだ理性の方が上回っていた。 大好物の乳房を極力見ないようにと心掛けながら、柔らかなボディスポンジで彼女の腕を洗っていた。 これでも真面目に煩悩を殺していたのだ。いや、本当に。 だが、事件はこの後に起きた。 ぷにぷにとした柔らかな身体を洗い終え、後はシャワーで流そうかと立ち上がった直後、 うっかり石鹸の泡で足を滑らせてしまった俺は、その勢いのまま蜜柑の身体へと突っ込んでしまった。 この時ばかりはトラブルの神様に感謝……いや、恨みさえした。 「うわっ!?」 「……きゃっ」 咄嗟の判断でタオル掛けの手すりを掴み、爪先に込めた力だけで正面衝突を免れたのは、我ながら僥倖だったと言えよう。 しかし、俺の勃起した肉棒まで勢いを殺すことは出来ず、無防備に開いていた蜜柑の谷間へホールインワン。 慌てて抜こうと動いても、つんのめった体勢ではロクに引き抜くことも出来ず、 ぬっぷぬっぷと心地良い刺激が俺の股間に広がっていくばかり。 ここにめでたく、理想的なパイズリ体位が自然と出来上がってしまった、というワケだ。 「あっ……あふぅっ……、み、蜜柑……っ、これは、その……ぉ」 「……ぱぱ?」 何とか口で誤魔化そうにも、気持ち良すぎて言葉が浮かばない。下を向けば、娘の無垢な顔がある。 きょとんとした表情を浮かべつつ、されど胸に挟んだ肉棒は谷間の中でむぎゅむぎゅと捕らえて離さない。 なんて素敵な乳圧だろう。 「えぇと、あの……」 「…………??」 「あ、あぁぁ、も、もう限界だぁ!」 その可愛らしい素顔とおっぱいとを見比べている内に、張り詰めていた糸がプツンと切れた。 こうなれば理性もヘチマもない。俺は蜜柑の巨乳を両手で掴むと、肉欲の赴くがまま、激しく腰を打ち付けていく。 「ごめんっ、ごめんよぉ、蜜柑っ!」 「……っ、……んっ、……どうしたの、ぱぱ……?」 口先だけで謝りながらも、娘のおっぱいを犯していくのを止められない。 その乳房の感触はもっちりとして柔らかく、硬い亀頭で押し込められる度に自在に形を変えていく。 まるで杵つき餅のようだ。 パチュンパチュンと小気味良い肉打ち音を奏でると、鼻下から牛乳石鹸の淡い香りが立ち込めてきた。 その音と香りに混ざって、心配そうな声が股座から響く。 「……どっか、くるしいの……?」 「うぁ……っ、あ、あぅあぅ……っっ」 じっとこちらを見上げる純朴な瞳には、侮蔑のぶの字もない。 心の底から案じてくれている気持ちに、俺は大いなる罪悪感を覚えた。 が、それでも理性を失った下半身は一向に収まる気配を見せない。 性欲に溺れた猿のように、ただ腰をカクカクと振り続ける。 「くるしいなら……みかんが……たすけて、あげよっか……?」 「た、たた、助けるって、ど、どうやってっ?」 興奮で変に声が上擦ったが、蜜柑は気にする様子もなく、何やら思案顔で考え始めた。 「えっと……、……えぇと……」 「はぁ……っ、はぁ……っ」 その間も、俺は構わず腰を振り続けた。チ●ポで乳間を突き続けた。 もうすぐヌけそうだ。そう感じた刹那、不意に蜜柑の手が腰裏に伸びてきて、俺の尻を優しく撫でた。 「……よし、よし」 「――うぐっ!?」 反則だった。 まるで母親が聞き分けのない子をあやす時のような慈愛溢れる声で囁かれ、しかもやんわりと尻まで撫でられたら、 そりゃあ誰だって一撃で堕ちるに決っている。 「で、射精るぅぅ……っ!!」 「んんっ……??」 俺は果てた。射精した。忙しくて何日分か溜め込んでいた精液を、思いっきりぶっ放した。 びゅるびゅると元気な子種を娘のおっぱいに沢山注ぎ入れた。気持ちよかった。 腰が抜けるほど、気持ちよかった。 「ぁつ……なに、これ……」 ホカホカと湯気を出す白濁まみれの谷間を見ながら、蜜柑は首を傾げた。 釣られて傾く猫耳も、ひょこひょこと愛らしく揺れている。 「ぱぱの、おしっこ……??」 「う……ぅぅ、おおお、おぐっ、おぐぉぉ……っ」 その傍らで俺は泣いた。 不可抗力だったとはいえ、結果的に無知な幼女を騙し、性欲処理に使ったという事実に打ちひしがれ、 情けなく嗚咽を漏らし始めた。 「……どうしたの……?」 「うぅっ、ごめんよ蜜柑、俺、あんなコトしちゃって……」 「……あんな、こと?」 「気持ち良すぎて、蜜柑のおっぱいにおち●ちん挿し込んじゃった……」 性知識のない蜜柑には自分の胸に掛けられた体液が何なのか、どうして俺が泣いているのか、全然理解出来ていない様子だった。 冷たいタイルで正座しつつ、無様に泣き続ける俺の傍らで、彼女は暫し無言になる。 「…………ぱぱ」 やがて唐突に呟いた蜜柑は、うなだれた俺の肩にそっと手を置くと、同じ目線のままニコリと笑った。 天使の微笑み。そう表現することしか出来ない、純真な笑みだった。 「きもち……いいなら、また……やっても、いいよ……?」 その一言が発端となり、以来俺は毎日欠かさず娘の胸で性処理をするようになった――。
「ただいまー」 「ぁ……ぱぱぁ……♪」 蜜柑との共同生活が始まって二週間後。すっかり俺とのコミュニケーションに打ち解けた蜜柑は、 バイトや講義から帰ってくると、すぐに部屋から飛び出して出迎えてくれるようになった。 娘というよりは、まるで人懐こい猫のようだが、どちらも可愛いことに変わりはない。 「おしごと、おつかれさまぁ」 「ハハ、良い子にしてたか、蜜柑?」 「うんっ!」 労いの意味も込めて軽く頭を撫でてやると、蜜柑は嬉しそうに目を細めながら頷く。 ここまでなら、アットホームなドラマのワンシーンとして地上波でも流せるかもしれない。 だが、この先の行為は有料放送でも流せない、二人だけの秘蔵映像だ。 俺が彼女の頭から手を離すのを合図にして、蜜柑はお気に入りの黒のワンピースをちょうど乳首のある位置までペロリと捲り上げた。 そうして見事な下乳を魅せつけながら、俺のズボンに手を伸ばすと、慣れた手つきでベルトを緩め始める。 「みかん、きょうもね……いっぱいべんきょう、したの」 「へぇぇ、どんな勉強かな?」 ウエストの圧迫感が和らぎ、やがてチャックの隙間から仕事疲れの肉棒がボロンとはみ出る。 それでも俺は全く驚いた様子を見せず、靴箱にスーツ越しの背中を預けたまま、娘の淫行にひたすら身を委ねていた。 「んふ……ぱぱのだいすきな、ぱいずり……だよ♪」 そう言って蜜柑は妖しく微笑むと、絶妙に空いた服と乳房の隙間へゆっくりと俺の肉棒を埋没させていく。 一日分の汗と疲労とが染み付いた汚い肉棒は、やがて柔らかな肉の感触に包まれ、俺の口元から歓喜の呻きが漏れた。 「あふっ……な、なるほどね、服着たままの……いわゆる着衣パイズリってヤツかぁ……っ」 「ちゃく……ぱい……?  えっと……まだよくわからない、けど……、ほんにでてくるおとこのひとは……きもちよさそう、だったから……」 俺の感想を不満と勘違いしたのか、蜜柑は肉棒を胸で挟み込んだまま、不安げな眼差しでこちらの顔を見上げてくる。 「……きらい、だった?」 「あ、いやっ、そんなことはないぞっ!  むしろ早くしてくれ〜って、おち●ちんが急かしてるんだ。ほらっ!」 言いながら、俺は腰元に絶妙な力加減を入れ、いきり立った肉棒を蜜柑の胸の間でブルンと震わせてみせた。 「わっ、わっ……あ、あばれ、ないで……っ」 「ほらほらー、早くしてくれないとおち●ちんさん、逃げちゃうぞ〜?」 娘の慌てふためく姿を見ながら、俺はわざと腰を引いて肉棒を抜き取ろうとしてみせる。 無論、本当に逃げる気なんて露ほども無かったが、純粋な蜜柑には充分すぎる効果があったらしい。 「だめぇっ……、いましてあげる、からぁっ……っ!」 「――んぐっ!?」 珍しく鋭い声を上げた蜜柑は、直ちに両手を胸の両側へと寄せ、逃れようとする肉棒を豊満な谷間でガッチリと挟み込んだ。 「にげちゃだめ……だよ、わかった、ぱぱ?」 「は、はい……」 幼くもどこか迫力のある眼光に射抜かれ、俺の口からは臆病染みた声が漏れる。 背筋がゾクゾクと震え、後に何とも言えない快感が走るのは何故だろう。 そんな倒錯体験はともあれ、義父から無理やり主導権を奪い取った蜜柑は、 満を持して乳房を前後に動かし、本格的なパイズリを開始した。 「んっ、んっ、どう……かな、ぱぱぁ……、きもち、いい……?」 ぱちゅっ、むちゅっ、ぱんっ、ぱんっ……。 規格外の爆乳を小さな両手の平で一生懸命操りながら、蜜柑は上目遣いで感想を尋ねる。 聞くまでもなく、俺の顔は乳擦りの愉悦でだらしなく歪んでいたが、それを敢えて聞くのが、彼女の密かな楽しみらしい。 どうやらこの娘、少々Sッ気があるようだ。 「うんっ、す、すごく、気持ち良い……っ!」 「おしごとのつかれ……とれそう?」 「取れるっ、いっぱい取れるよぉっ!」 「んふふ……よかったぁ」 弓なりに身体を反らしながら、腰だけ必死に突き出している俺の格好を見ても、蜜柑は嫌な顔一つしない。 それどころか、むしろ母性本能に満ち溢れた尊い笑顔を振り撒いている。 声や見た目の幼さとは正反対に、彼女の精神年齢は非常に大人びていて、 ともすればパパと呼ぶ俺よりも、よっぽど包容力に溢れているのかもしれない。 「でも……まだだーめ、たくさんがまんしたら……、いっぱいきもちよくなれるって、ほんにかいてあったから……、  がまんしようね、ぱぱぁ♪」 「ふあっ!? そ、そんなやらしい擦り方で催促されたら、が、我慢出来なくなっちゃ……あっ、あああっっ!!?」 ただ挟むだけではなく、左右の乳房を互い違いに擦り上げるようにして、義父の肉棒を責めていく蜜柑。 その技法や発する台詞は、俺が一人暮らしの時に買い込んでいたエロ漫画を読んで『勉強した』ものらしい。 全く、末恐ろしい学習能力だ。 「あっ……ぱぱのおち●ちん、みかんのおっぱいのなかで、すごーくふくらんでる……」 「う、うぅぅ……み、みかぁん……っ」 犯罪的な乳房に包まれた肉棒の先端から透明な汁が絶えず湧き出るのを見て、蜜柑の乳圧が更に強くなる。 「もう、でそう……?」 「出るっ、出したいっ!」 「もうすこしだけ、がまん……してみる?」 「無理っ! もう限界っ! お願いだから、出させてくれぇっ!」 恥も威厳も捨て、駄々っ子のように叫ぶ俺。 限界はとうに超えており、いつ射精してもおかしくない状況なのだが、不思議と娘の許可が無いと出せない気がした。 「んー……じゃあ、みかんのこと、すき?」 「えっ!?」 「こたえてくれないと、ぴゅっぴゅは……おあずけ」 意地悪な仕打ちに対し、俺はあらん限りの気合を込めて、娘への愛を叫んだ。 「す、好きっ! 大好きぃっ! 蜜柑の事は、この世の誰よりも愛してるぅっ!!」 「……ん」 気合が入りすぎて、背骨が軋むほど反り返ってしまい、相手がどんな表情をしていたのかはまるで分からない。 が、とにかく俺の熱い思いは確かに彼女に伝わったらしく、 硬く勃起した肉棒を擦り跡の付いた谷間でぎゅーっとサンドイッチにしながら、蜜柑は優しく囁いた。 「いいよ……みかんのおっぱいに、いーっぱいぴゅっぴゅして……」 「あっあっあっ、で、出るぅぅっっ!!」 ぶびゅっ、びゅるるっ、びゅーーっ、びゅーーーっ……。 娘の柔らかな爆乳に包まれたまま、俺は疲労の篭った精液を全て吐き出した。 全身から力が抜けるのを感じつつ――あぁ、これが本来の、ヌくという行為なのか――と昇天しそうな顔でそう悟った。 「あぁ……最高だったよ、蜜柑……」 「ぱぱがよろこんでくれるなら、いつでもしてあげる……から」 脱力し、座り込んだ俺の額へ、柔らかくて小さな唇がちょこんと合わせられた。 驚いて目を向けると、そこには胸元にべっとりと精液を付着させたまま、幸せそうに微笑む猫幼女の顔がある。 「これからも、みかんのこと……よろしくね」 彼女の言葉に口で答えるより早く、俺の股間はビクンと脈動し、了承の意を示すのだった――。 update:2016.01.08


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